街の灯 「PLUS+ アンカー」の話  その15 潜在ニーズ

「まだ表面化していない潜在的なニーズを掴むことが出来たらいろいろな仕掛けをすることが出来る。きっとまちづくりに役に立つに違いない」

とは早くから気がついていたが、埋もれているニーズを把握するのはどんな仕事でも至難の業である。貴志さんもなかなか答が見つからず、長年考え続けていた。
だから、雅子さんの発案で「PLUS アンカー」を作ることになったとき、

「私が求めていたのはこれだったんだ、と目が醒める思いがしました」

不動産会社には、特定の目的を持った人しか来ないと先に書いた。だが、カフェなら?
カフェとは、様々な人たちが、特定の目的を持たなくても、フラリと気軽に立ち寄る場所である。中に入れば、同行者と四方山話に花が咲く。1人での来店なら、店の人と雑談を始めることもある。そして、肩の力を抜いたおしゃべりには、その人の人生がいろいろな形で顔を覗かせる。中には、不動産に関係する話題だって出るはずだ。

「ええ、ご本人すらまだ気がつかれていない、不動産に絡む潜在需要を『PLUS アンカー』でなら掬い取ることが出来るのではないかと思いついたんです。家内の雅子は人付き合いが好きですし、たくさんの人たちと知り合って、話を聞いて、桐生にはどんな潜在ニーズがあるかを把握してくれるはずだと」

まだ本人を含めて誰も知らないニーズを他に先駆けて掴む。あとは自分の町づくりプランにそのニーズを組み込み、水面上に出す働きかけをすればよい。まちの本当の課題を根底から解決するビジネスを生み出せるのではないか? いや、桐生に活気を取り戻す町づくりが出来るのではないか?
顧客に近づく。それはビジネスの第一歩である。

写真:「PLUS アンカー」はたくさんの人々が集う場所だ。「着物で歩こう」会に集まった美女たち。

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