その29 あなたの1本
こんな作業を毎日のように繰り返す。クリムトに寄り添い、クリムトから離れ、さらに壊して松井智司の世界を作る。そんな作業だから、一つの色系のマフラーが5、6種類出来る。ちょっと見るだけなら同じに見えるが、もう一度見るとそれぞ...
こんな作業を毎日のように繰り返す。クリムトに寄り添い、クリムトから離れ、さらに壊して松井智司の世界を作る。そんな作業だから、一つの色系のマフラーが5、6種類出来る。ちょっと見るだけなら同じに見えるが、もう一度見るとそれぞ...
【独立】 営業は順調だった。東京からデザイナーやそのアシスタントを同行して富士吉田市の工場に通った回数は数え切れない。そして、営業担当だった澤さんも、いつしかニードルロッカーの操作に習熟した。デザイナーと一緒に新しい布地...
【ニードルパンチで服地を】 澤さんによると、ニードルパンチという加工技術に注目したのは、山梨県織物整理株式会社の渡辺明弘社長だった。英国に出張した際、見慣れないマフラーに出会った。どう見ても織り柄ではなく、ブリンとされた...
【ニードルパンチ】 Needle(針)でpunch(パンチ=打つ、穴を空ける)する。重ねた繊維を活け花で使う剣山を巨大化したようなボードを組み込んだ機械(ニードルロッカー)で何度も打ち、上下の繊維を絡ませて一体化する加工...
【なぜ抜き型なのか】 お読みいただいたように、手作業が主体の松平さんの工場にも、少しずつだが便利な機械が入り、作業を楽にしてきた。私たちは誰も、作業をより楽に、より効率的に、より正確に進めるために人々が積み重ねてきた知恵...