FREE RIDE ライダーは桐生を目指す その14  Made in桐生

「FREE RIDE」の店頭に並んでいる商品の5割は、すべて桐生で作った完全「Made in桐生」である。地元では作れず、やむなく他の産地に出しているものでも、刺繍など最後の一手間を桐生で加えているものを含めれば、Made in桐生は7割を超える。桐生色がないのは、ブーツやグローブなどの革製品、ヘルメットやサングラス、ちょっとした小物程度しかない。

「ウエアは桐生で作った方が絶対にいいものができますもん」

という二渡さんも、最初から桐生の底力に気がついていたわけではない。
起業したころは、東京からの注文を受けてくれる工場を探し回った。引き受けてくれるところが見つかれば一件落着。仕上がった製品を納品すると、発注先からはクレームもない。

「どこでやっても、同じようなものだろう」

としか考えていなかった。
認識が変わったのは、自分でデザインしたウエアの製造を始めてからだ。

「面白そうだな。やってみましょ」

と引き受けてくれた工場には足繁く通った。何しろ、普通のデザインではない。職人さんと何度も顔を付き合わせて相談しなければなかなか仕上がらない。

「そんなことを続けているうちに、見えてくるものがあったんです」

職人さんそれぞれの得意技が分かるようになった。単純な仕事なら、どこの工場に出しても仕上がりはほとんど変わらない。しかし、「FREE RIDE」のオリジナル商品は工夫を凝らしたものばかりだ。それぞれの職人さんの得意技をもとに製品ごとの発注先を変える。織都桐生でなければなかなかできないことである。

「得意技を別としても、桐生の職人さんは全般的に腕がいい。それに小回りがきく。技術水準が高い上に、それぞれの職人さんが専門性を持ち、無理難題をふっかけても何とかしようとしてくれる。その集合体が織都桐生なんですよ。大量生産には向いていないだろうけど、狙い通りのものをきちんと作るには桐生でなくっちゃ、といまは思っています」

写真:縫製作業を見守る二渡さん。

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