FREE RIDE ライダーは桐生を目指す その12 一生もの

二渡さんは、どんな修理の相談にも、できる限り対応する。ジッパーやリブ、ムートンならそこだけ交換する。破れたN-3Bやパンツは裏から同じ生地をあて、丁寧にかがって修理する。自分でできるものは自分でやる。自分では無理だと思えば専門の工場に出す。
最近は、家電品が故障すると、修理を頼むより新品を買った方が割安になることが多い。しかし、「Free Ride」では、どんな修理を頼もうと、新品より高くなることはない。

「だって、嬉しいじゃないですか。私がデザインして作った服を、そこまで使ってもらえるなんて。15年、20年前に売ったウエアが修理で戻ってくると、ほんと、涙が出そうになりますよ。それに、ボロボロになったパンツを修理する時なんて、つぎはぎだらけになった仕上がりを見て『これ、新たなリメイクファッションだよな』って楽しくなります」

「Free Ride」のウエアは一生ものなのだ。製造を頼んでいる桐生市内の工場と協力関係を築き上げているからできるサービスである。マネをしようと思ってもおいそれとできることではない。

「実はね、私自身が捨てられないんです。古いバイクウエアもたくさん取ってあるんです。1つ1つに想い出があってね。もうボロボロだけど、これを着てあそこに行ったよなあ、とか、ああ、これは雪の青森を走ったときに身につけていた。寒かったなあ、なんて懐かしさがこみ上げる。ありませんか、そういうことって?」

修理を頼みに来る客にも、きっといつまでも温めておきたい大切な想い出があるんだ。私が創ったウエアがその思い出の一部なんだ。

二渡さんはそう思う。だから、直せるものは必ず直す。直しながら、洋服屋冥利を噛みしめるのである。

写真:店にはミシンが備え付けだ。二渡さんが自ら操る。

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