趣味? からくり人形師佐藤貞巳さん 第4回 白瀧姫は布を織れるか
白瀧姫は完成した。次は織機である。 織都桐生には人が動かしたひと昔前の織機がたくさん残っている。佐藤さんは市内を歩き回り、出来るだけ古い織機を探した。古い方が仕組みが簡単で、作りやすいからだ。 目当ての織機を見つけた佐藤...
白瀧姫は完成した。次は織機である。 織都桐生には人が動かしたひと昔前の織機がたくさん残っている。佐藤さんは市内を歩き回り、出来るだけ古い織機を探した。古い方が仕組みが簡単で、作りやすいからだ。 目当ての織機を見つけた佐藤...
そのころ、テレビの取材が入った。作りかけの白瀧姫を見た取材クルーは 「これ、凄いですねえ!」 と驚いた。白瀧姫が本当に機を織っているように見えるという。人は褒め言葉に弱い。中でも佐藤さんは褒められると舞い上がる。気をよく...
佐藤さんは桐生の生まれではない。湯沢温泉のすぐ近く、秋田県雄勝郡羽後町で昭和19年(1944年)4月に生を受けた。11人兄弟の10番目、農家の6男坊である。 いまでも一つもダムがない雄物川がすぐ近くに流れ、毎年鮭が登って...
そんなことばかりやっていたから、家で勉強したという記憶はない。それでも小学生の間は地力でトップクラスの成績を続けていたが、中学に上がるとさすがにそれでは追いつけなくなる。陸上部で短距離、三段跳びに熱中するうちに成績は下降...
時計屋に住み込んだが、最初の1年は時計には触らせてはもらえない。置き時計の埃払いを命じられるのがせいぜいである。2年目になってやっと掛け時計の分解掃除を許された。3年目、4年目は目覚まし時計の分解である。だが、組み立ては...