朝倉染布第8回 競泳用水着
1970年代、競泳用水着が大きく進化し始めた。 それまでのオリンピック選手が身につけていたのは、私たちが海やプールで身につける水着とほとんど変わらない水着だった。水着とは人前にさらすことがはばかられる身体の一部を隠すもの...
1970年代、競泳用水着が大きく進化し始めた。 それまでのオリンピック選手が身につけていたのは、私たちが海やプールで身につける水着とほとんど変わらない水着だった。水着とは人前にさらすことがはばかられる身体の一部を隠すもの...
その後改良が進んだが、当時のスパンデックスは塩素に弱かった。塩素に触れるとやがてボロボロに劣化する。ご存じのように、プールの水には殺菌剤として塩素が含まれている。プールで数回泳げばボロボロになってしまうのでは水着としては...
もう一つ、競泳用水着の生地につきものの悩みがあった。色落ちである。普通に処理したのでは冗談では済まないほど色が落ちる。 スパンデックスはスポンジのように隙間がたくさんあり、その隙間に染料が入り込む。 風呂場でスポンジに石...
身体の一部を隠すための水着ではなく、速く泳ぐための水着の研究は年を追って拍車がかかった。もっと速く泳げる水着を創り出せ! 激しい開発競争の中で見いだされたのが撥水加工だった。朝倉染布が一度は捨てようとまで考えた撥水加工技...
競泳用水着に革命を起こした「初代レーザー・レーサー」だったが、寿命は長くなかった。 一言で言えば、結果が華々しすぎた。水着のあまりの性能に、記録を塗り替えるのは選手なのか、それとも水着が記録更新の主役なのかが曖昧になった...