花を産む さかもと園芸の話 その16 チャイ式

見直すのはそれだけではない。チャイさんは大改造に取りかかった。
年間の作業スケジュールにはほとんど手をつけていなかった。正次さんの時を思い出し、○月○日にはこれ、△月△日にはあれ、と前例踏襲を続けていた。しかし、気候は毎年変わる。空梅雨もあれば長引く梅雨もある。酷暑の夏、冷夏、暖冬、厳冬。日照時間も変われば湿度も同じではない。こうした変化に合わせてスケージュールは毎年見直さなければならないのではないか?

肥料も今のままでいいのか? 正次さんが書き留めた資料はない。従業員たちから聞き取りをしてできるだけその通りにしただけである。最適な肥料管理を産み出さねばならない。

群馬県農業技術センターのデータを取り寄せた。シクラメンには、アジサイには、どんな肥料がどの程度必要なのか。施肥の方法は。時期は。
同業者に同じ質問をしたのはいうまでもない。研究機関のデータと生産者の経験談。それに自分の判断を加えて肥料設計をする。

土作りも見直した。正次さんのメモはあったが、気候が変われば土も変えなければならないのではないか? それに、正次さんの時とは管理方法も変え始めている。新しい、チャイ式管理に合った土が必要なのではないか?

4年目。花の出来がよくない。作業手順の変更が不十分だったらしい。正次さんとは指示の出し方が違うこともあり、花の世話が追いついていないようだ。
チャイさんはより合理的に花の世話ができるよう、作業の組み合わせの見直した。

「Aという作業の次にBという作業をしていたのですが、その間に空き時間ができるのです。だったら、Bの次にやるようにしていたCをその時間にするようにできないか。そんな風に考えて、まあ作業密度をあげるというか、合理化するというか」

そして迎えた5年目、アジサイもシクラメンも綺麗に咲いた。生産量も正次さんのころを凌ぐまでになった。

「土も管理の仕方に合わせて作らないといけないことも分かりました。義父が作っていた土は僕の管理方式には合わなかったよ。そんなことも分かって、はい、5年目でやっと安定したね」

土作りも肥料設計も年間スケジュールも、チャイ方式が、やっと出来上がった。

写真:チャシ式のもと、さかもと園芸では美しい花が咲き続けいている

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