FREE RIDE ライダーは桐生を目指す その6 バイクに乗るということ

必要は発明の母であるといわれる。この言い方を借りれば、不満は改革の源、ということになろうか。

店の品揃えは徐々に充実させた。バイクウエア専門店をうたう以上、バイクウエアなるものを世界中から探し出そうと試みた。だが、探しても探しても、バイクライダーのためにデザインされた服が見つからない。

「これならどうだ?」

と思ったのは、映画「イージー・ライダー」を産み出したアメリカで、バイクライダーの多くが使っている飛行機乗り用のフライトジャケットだった。米国のライセンスを得て、フライトジャケットを作っている会社が日本にあった。早速仕入れて店に並べた。

「ところがねえ、どうもしっくりこないんですよ」

アメリカで生まれたデザインだから総てが米国サイズである。手足の長さ、胴の丸さ、首の太さなど身体のつくりが米国人とは違う日本人に、米国サイズの衣服を着こなせる人は数少ない。

それだけなら、まだ何とか我慢もできたかも知れない。

「これはバイクには使えない」

と思ったのは、全体のデザインである。

フライトジャケットはもともと飛行機のパイロットが着用して最適になるようデザインされた。パイロットは操縦席に腰を下ろし、上半身は立たせて、あるいはシートの背にもたれて操縦桿を握る。腕は身体に寄せ、肘から先を軽く伸ばせば操縦桿に届く。昔の複葉機ならともかく、いまの飛行機にはセスナを含めて風防があるから風はまったく侵入しない。そう、車の運転席にいるのとあまり違わない。

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