街の灯 「PLUS+ アンカー」の話  その8 船出

「廊下と応接間、廊下の間にある障子を取り去れば広い空間が作れるし、薄暗さもなくなる。これならカフェに出来る」

新しい目で角田さんの住宅を見た雅子さんはそう確信した。見れば見るほど、出来上がったカフェの姿が脳裏にくっきりと浮かぶ。
数日後、角田さんご夫妻にアンカーの事務所まで足を運んでもらった。

「いろいろと考えたのですが、角田さん、あの土地と住宅をアンカーでお借りしたいと思っています」

思ってもみなかった解決策だったからかも知れない。角田さんは口を閉じたままだった。

「実は、改装してカフェを開きたいと思っているんです。どうでしょう?」

角田さんは黙ったままだ。すると、横にいた洋子夫人が口を開いた。

「お父さん、きっとそれが一番いいんじゃないかしら?」

それまで固かった角田さんの表情が緩んだ。心なしか、目が潤んでいるようにも見える。そうか、角田さんはこの計画を気に入ってくれたんだ。自分が言い出す前に奥さんの同意が飛び出してホッとしている!

雅子さんは、お年寄りが気楽に立ち寄れるカフェをつくる計画を練っていたことを説明した。自宅があるビルの1階をカフェにする計画がもう最終段階に来ているのだが、どうしても言葉にならない違和感が拭えなかった。ボンヤリと考えていて、ふと、角田さんの家の方が、私が創りたいと思っているカフェにはずっと相応しいと思うようになった……。

話に耳を傾けていた角田さんの顔に、心からの笑みが広がった。
カフェか。カフェなら人がたくさん来る。人の出入りが絶えなかったあの家に、もう一度賑わいが戻る。家もきっと喜んでくれる。願い続けていたことが実現する!

写真:「PLUS+ アンカー」 には、ほぼ手つかずのままの和室も残されている。

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