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第7回 贈り物

「人は誰でも原石を一つ持たされて、この世に生まれてくる。
色・形・大きさ・重さ・材質などは人によって様々。同じモノはひとつとしてない。
せっかく贈られた原石でも、そのままではただの石。生を受けたからには、そこに秘められている何かを導き出し、光り輝かせる使命が人にはある。 輝かせるためには黙々と磨き続けなければならず、その磨き方は多様多岐にわたり、簡単で安易なものなどない。
なかなか習得出来ないそのすべを探し当てる事こそが、まさしく“学ぶ”という事。人として、決して放棄してはいけない道なんだ。」30年以上も前に恩師に聞いた話である。

最近若者のニートが増えているという。勿論、当人達にも非はあるのだが、原因を彼らだけに押しつけていても根本的解決にはならない。彼らには早く、『これ!』といった自分の価値を発見し生かしてもらいたい。
そして、世の中ではそれを必要とし待ち望んでいる人達が大勢いるという事も知ってほしいと願うばかりである。
天職を英語でGIFT(贈り物)と云う。誕生日やクリスマスのプレゼントはとっても楽しみな事であり、貰うと嬉しいものだ。

しかし、こと仕事となると、自己抑制や義務感がついつい先だってしまいがちである。 もし、一日の大半を占める仕事が天職であったなら・・・。その人の潜在能力に着火し、才能や個性が開花してゆく事となれば、どんなに幸せな事だろう。
天職に就くとは、ワクワクしたり、ドキドキしたりと自然に何かが込み上げてきて、「これなら心底打ち込める」と、自らが臨んでいける状態の事だ。
例え辛いことがあろうとも、邁進してゆこうとする勇気や希望の光が失せる事もないはずだ。

人が何かに打ち込んでいる姿はとても美しく、周りの多くの人達をも引きつける魅力に満ちている。
そして、個人の満足感の枠だけに留まることなく、更に次元を上げ“進むべき道”を歩み続けてゆくならば、やがて世の中に貢献し役立つような偉業になるかもしれない。
それは、人として至高の瞬間であり、まさに原石が光り輝く場面ではないだろうか。

「君がいないと、あなたじゃないと、だめなんだ。」と云わせる原石を、誰でもが平等に持っているのである。

ぐんま経済新聞 「東毛エッセイ」 平成17年6月23日より転載